東京高等裁判所 平成8年(行ケ)61号 判決 1998年2月26日
ドイツ連邦共和国バーデン・ビュール・インズストリイストラーセ 3
原告
ルーク・ラメレン・ウント・クップルングスバウ・ゲゼルシャフト・
ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
同代表者
ゲルハルト・ロッテル
同訴訟代理人弁護士
牧野良三
同 弁理士
久野琢也
東京都千代田区霞が関3丁目4番3号
被告
特許庁長官 荒井寿光
同指定代理人
高橋美実
同
田中弘満
同
小池隆
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告のための付加期間を90日と定める。
事実
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
「特許庁が平成6年審判第2137号事件について平成7年11月6日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決
2 被告
主文1、2項と同旨の判決
第2 請求の原因
1 特許庁における手続の経緯
原告は、1983年11月15日及び1984年3月5日にドイツ連邦共和国においてした特許出願に基づいてパリ条約4条の規定による優先権の主張をして昭和59年11月15日に出願した特願昭59-239615号の一部につき、発明の名称を「トルク変動を減衰するための装置」として、平成2年8月6日に新たな特許出願(特願平2-206935号)をしたが、平成5年10月21日拒絶査定を受けたので、平成6年2月14日審判を請求し、平成6年審判第2137号事件として審理された結果、平成7年11月6日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決があり、その謄本は同年12月6日原告に送達された。なお、出訴期間として90日が附加された。
2 本願の特許請求の範囲第1項に記載された発明(以下「本願第1発明」という。)の要旨
トルク変動を減衰するための装置であって、内燃機関の出力軸に固定可能な第1の質量体と、クラッチを介して伝動装置に対して接続及び遮断可能な第2の質量体とを備え、これら質量体が、質量体相互の単一の定心手段及び支持手段を成す、少なくともほぼ軸方向で出力軸の外部に配置された支承部を介して、互いに相対的に回動可能に支承されていてかつこれら質量体の間に、コイルばねを有する周方向で作用する蓄力装置と共に緩衝装置が配置されている形式のものにおいて、支承部(15)が、内燃機関の出力軸(5)に第1の質量体(3)を固定するためのねじ(6)用のねじ止め孔のために必要なスペースの半径方向で内側に配置されていて、上記ねじが内燃機関とは反対の質量体(3)側からねじ込み可能であることを特徴とする、トルク変動を減衰するための装置。(別紙図面1参照)
3 審決の理由の要点
(1) 本願第1発明の要旨は前項記載のとおりである。
(2) 引用例の記載
<1> 特開昭55-20964号公報(以下「第1引用例」という。)には、「2は駆動軸となるクランクシャフトであり且つ3は被動軸となるクラッチシャフトである。」(2頁右下欄1行ないし3行)、「その内周端をクランクシャフト2にボルト6で固定させた環状のドライブプレート7」(2頁右下欄7行ないし9行)、「フライホイール9の内周部に断面L型をなした環状の第1のドリブンプレート16をボルト17で固定させる。この第1のドリブンプレート16とフライホイール9との間に第2のドリブンプレート18を固定し、第1および第2ドリブンプレート16、18が、ドライブプレートブッシュ19を介して、フライホイール9と共に、ドライブプレート7に対し回転可能とさせる。」(2頁右下欄19行ないし3頁左上欄8行)、「駆動軸2からの回転トルクは、摩擦板24を介して、そのねじり振動をコンプレッションスプリング26で吸収しながら、被動軸3に伝達される」(3頁左下欄19行ないし右下欄2行)、「たとえば、エンジンの低速回転領域で多く生じる激しいトルク変動を、被動軸に減衰させて伝達するので、出力側の機器へ何んら悪影響を与えない。」(3頁右下欄15行ないし18行)との記載があり、かつ、「軸方向で見てクランクシャフト2端よりクラッチシャフト3側に設けられたドライブプレートブッシュ19」(第1図。別紙図面2参照)を備えた回転トルク伝達装置が開示されている。
<2> 特開昭53-32525号公報(以下「第2引用例」という。)には、「一側部のフライホイールは内燃機関のクランクシャフトに固着するとともに他側部のフライホイールはクラッチを介して変速機のメインドライブシャフトに連結し、」(2頁左上欄19行ないし右上欄3行)、「メインドライブシャフト10の軸端はクランクシャフト1の求心部に装着したパイロットベアリング11に枢支されている。また、メインドライブシャフト10上にはベアリング12を介して別個のフライホイール13が枢支される。」(3頁左下欄13行ないし18行)、「クランクシャフト1端部にボルト2により2分割されたフライホイールのうち一方のフライホイール48を剛体的に固着すればよい。」(5頁右上欄10行ないし12行)との記載があり、かつ、「半径方向でみてボルト2よりも内側に設置されたパイロットベアリング11及びベアリング12」(第11図。別紙図面3参照)が開示されている。
(3) 本願第1発明と第1引用例記載のものとの対比
本願第1発明の「第2の質量体」、「コイルばね」、「支承部(15)」、「内燃機関の出力軸(5)」、「第1の質量体(3)」、「ねじ(6)」は、それぞれ第1引用例記載のものの「フライホイール9」、「コンプレッションスプリング26」、「ドライブプレートブッシュ19」、「クランクシャフト2」、「ドライブプレート7」、「ボルト6」に相当するから、両者は、「トルク変動を減衰するための装置であって、内燃機関の出力軸に固定可能な第1の質量体と、クラッチを介して接続及び遮断可能な第2の質量体とを備え、これら質量体が、質量体相互の単一の定心手段及び支持手段を成す、少なくともほぼ軸方向で出力軸の外部に配置された支承部を介して、互いに相対的に回動可能に支承されていてかつこれら質量体の間に、コイルばねを有する周方向で作用する蓄力装置と共に緩衝装置が配置されている形式のものにおいて、上記ねじが内燃機関とは反対の質量体(3)側からねじ込み可能であることを特徴とする、トルク変動を減衰するための装置。」の点で一致し、次の点で相違している。
<1> 第2の質量体が、本願第1発明では、伝動装置に対して接続及び遮断可能なのに対して、第1引用例ではその相手が何ら記載されていない点(以下「相違点<1>」という。)
<2> 支承部(15)の配置箇所が、本願第1発明では、ねじ(6)用のねじ止め孔のために必要なスペースの半径方向で内側なのに対して、第1引用例では、ボルト6の半径方向で見て外側である点(以下「相違点<2>」という。)
(4) 相違点の判断
<1> 相違点<1>について
第2引用例に「他側部のフライホイール(本願第1発明の第2の質量体に相当する)はクラッチを介して変速機のメインドライブシャフトに連結し」との記載があり、変速機は伝動装置の一種であるから、相違点<1>は第2引用例に記載されている。
<2> 相違点<2>について
第2引用例の第11図(別紙図面3参照)には、「半径方向でみてボルト2(本願第1発明のねじ(6)に相当する)よりも内側に設置されたパイロットベアリング11及びベアリング12」が開示されているから、相違点<2>は第2引用例に記載されている。
<3> そして、いずれの引用例も、同一技術分野に属するものであるから、第2引用例に記載された事項を第1引用例に記載された事項に適用することは、当業者が容易になし得たものと認められ、また、そのように適用したことによって格別顕著な作用効果が生ずるものでもない。
(5) したがって、本願第1発明は、第1引用例及び第2引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、本願第1発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
また、前述のように本願第1発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、このような発明を包含する本願については、特許請求の範囲2~11項に記載された発明について判断するまでもなく特許を受けることができない。
4 審決を取り消すべき事由
審決の理由の要点(1)ないし(3)、(4)<1>は認める。同(4)<2>、<3>、(5)は争う。
審決は、相違点<2>についての判断を誤り、かつ、本願第1発明の顕著な作用効果を看過して、本願第1発明の進歩性の判断を誤ったものであるから、違法として取り消されるべきである。
(1) 相違点<2>の判断の誤り(取消事由1)
<1> 本願第1発明の特許請求の範囲にいう「支承部」とは、「質量体相互の単一の定心手段及び支持手段を成す、少なくともほぼ軸方向で出力軸の外部に配置され」、かつ、「内燃機関の出力軸(5)に第1の質量体(3)を固定するためのねじ(6)用のねじ止め孔のために必要なスペースの半径方向で内側に配置されて」いるものである。
そして、本願明細書の発明の詳細な説明には、「両方の質量体3、4は互いに相対的支承部15を介して回転可能に支承されている。この支承部15は軸方向に互いに相前後して配置された2つのころがり軸受16、17から成っている。」(甲第2号証5頁13行ないし17行)と記載されてとおり、ころがり軸受16、17から成る支承部によって2個の質量体3及び4が一体として支承されるのである。
なお、「支承部」という用語は極めて広範な概念を有するものであって、およそ他のものを支承・支持する部位・部材等はすべて「支承部」とか「支持部」と呼称されているのであるから、かかる多義的意義をもつ「支承部」のうちから、本願第1発明における「支承部」を特許請求の範囲自体から特定することは到底不可能である。したがって、本願第1発明における「支承部」の技術的意味を、上記のとおり発明の詳細な説明に基づいて特定することは当然のことである。
これに対し、第2引用例のパイロットベアリング11及びベアリング12(支承部)は、いずれも軸方向でクランクシャフト(出力軸)の内部に配置されている。
第2引用例のパイロットベアリング11は、メインドライブシャフト10の軸端をクランクシャフト1の求心部に枢支させるためのものであって、フライホイール6及びフライホイール13(本願第1発明の質量体3及び4に相当する)を直接支持するものではない。また、ベアリング12は、メインドライブシャフト10上にフライホイール13を枢支させるためのものであって、フライホイール6及びフライホイール13の両方を、フライホイール相互の単一の定心手段及び支持手段、即ち支承部を介して両質量体を相互に支承する手段として支承するものではない。
また、第2引用例のボルト2と本願第1発明の固定ねじ(6)とを比較すると、第2引用例のボルト2はドライブプレート3及びストッパープレート4をクランクシャフト1に固定するための部材であって、フライホイール6は別の(クランク軸を固定するためのボルトではない)ボルト5を介してドライブプレート3に固定されているにすぎない点で、本願第1発明のねじ6が質量体3を直接クランク軸6に固定しているのと異なる。
<2> 上記のとおり、第2引用例のパイロットベアリング11及びベアリング12は、その構成及び機能において、本願第1発明におけるころがり軸受16、17から成る支承部15と著しく相違するから、審決が、「第2引用例の第11図には、「半径方向でみてボルト2(本願第1発明のねじ(6)に相当する)よりも内側に設置されたパイロットベアリング11及びベアリング12」が開示されているから、相違点<2>は、第2引用例に記載されている。」(甲第1号証7真17行ないし8頁2行)とした認定、判断は誤りである。
また、本願第1発明と第2引用例のものとは、発明の構成及び機能ないし作用効果において著しい差異を有するものであるから、この点を無視して、審決が、「いずれの引用例も、同一技術分野に属するものであるから、第2引用例に記載された事項を第1引用例に記載された事項に適用することは、当業者が容易に為し得たものと認められ」(甲第1号証8頁3行ないし6行)とした判断は誤りである。
(2) 作用効果の看過(取消事由2)
本願第1発明は、「一面では、両質量体を互いに定心できるようになり、また、他面では、伝動装置をフランジ結合する前に全ユニットもしくは全装置を構造ユニットとして内燃機関のクランク軸に固定できることによって、組立てが著しく簡単になります。それというのも伝動装置入力軸は第2の質量体を支持する必要がないからであります。」(甲第11号証3頁5行ないし9行)という優れた作用効果を奏することができる。
これに対して、第2引用例の各ベアリング11、12の構成では、本願第1発明の上記作用効果を奏することは到底不可能である。
さらに、本願第1発明は、イ.ねじ止め孔の半径方向で内側に支承部を配置することにより、小さな軸受を使用でき安価である、ロ.軸受の直径が小さいため同じ角速度の場合に互いに支承すべき構成部材の相対速度が減少されるから、軸受の負荷も減少され、軸方向の所要構造スペースも減少されるようになり、簡単かつ安価に製作することが可能である、という効果がある。
したがって、審決が、本願第1発明につき、「格別顕著な作用効果が生ずるものでもない。」(甲第1号証8頁7行、8行)とした判断は誤りであって、上記顕著な作用効果を看過したものというべきである。
第3 請求の原因に対する認否及び反論
1 請求の原因1ないし3は認める。同4は争う。審決の認定、判断は正当であって、原告主張の誤りはない。
2 反論
(1) 取消事由1について
審決は、第2引用例のパイロットベアリング11及びベアリング12については、相違点<2>である、これらのベアリング即ち支承部が半径方向でみてボルト2よりも内側に設置されている点を引用するために摘示したものであって、第2引用例を本願第1発明自体と比較することは、審決における第2引用例の引用の趣旨に反するものである。
よって、原告の主張は失当である。
なお、本願第1発明の要旨を、支承部がころがり軸受16、17から構成されると限定的に解釈することはできない。
(2) 取消事由2について
原告が主張している作用効果は、本願第1発明の要旨からどのように導き出せるのか明らかでなく、本願明細書中にも明記されていない。
また、仮に、本願第1発明において原告が主張している作用効果を奏するとしも、第1引用例に記載された構成のものでも、ドライブプレートブッシュ19は、フライホイール9とドライブプレート7とを互いに正確に定心でき、これらは、ユニットとしてボルト6でクランクシャフト2に固定でき、クラッチシャフト3はフライホイール9を支持する必要がないので、本願第1発明と同じ作用効果は奏し得るものであるから、原告の主張は失当である。
また、小さな軸受を使用でき安価であるなどの効果は、第2引用例記載のものも、支承部がねじよりも半径方向で内側に配置されているから、当然に奏し得るものである。
第4 証拠
本件記録中の書証目録記載のとおりであって、書証の成立はいずれも当事者間に争いがない。
理由
1 請求の原因1(特許庁における手続の経緯)、2(本願第1発明の要旨)、3(審決の理由の要点)、並びに、審決の理由の要点(2)(引用例の記載事項の摘示)、(3)(本願第1発明と引用例1記載のものとの一致点及び相違点の認定)、(4)<1>(相違点<1>の判断)については、当事者間に争いがない。
2 取消事由1について
(1) 上記1に説示のとおり、第2引用例に審決摘示の事項が記載されていること、特に、第11図に、「半径方向でみてボルト2よりも内側に設置されたパイロットベアリング11及びベアリング12」が開示されていることは、当事者間に争いがない。
そして、第2引用例記載のボルト2は、フライホイール48をクランクシャフト1端部に連結するものであるから、本願第1発明における内燃機関の出力軸(5)に第1の質量体(3)を固定するためのねじ孔(6)に相当するものと認められる。
したがって、審決が、「第2引用例の第11図には、「半径方向でみてボルト2(本願第1発明のねじ(6)に相当する)よりも内側に設置されたパイロットベアリング11及びベアリング12」が開示されているから、相違点<2>は、第2引用例に記載されている。」(甲第1号証7頁17行ないし8頁2行)とした認定、判断に誤りはないものというべきである。
そして、第1引用例も第2引用例も、内燃機関の動力伝達装置に関するものである点において同一の技術分野に属するものであるから、第2引用例に記載された事項を第1引用例に記載された事項に適用することは、当業者が容易になし得たものと認めるのが相当であり、相違点<2>についての審決の判断に誤りはないものというべきである。
(2) 原告は、第2引用例のパイロットベアリング11及びベアリング12が、その構成及び機能において、本願第1発明におけるころがり軸受16、17から成る支承部15と著しく相違すること、及び、本願第1発明と第2引用例のものとは発明の構成及び機能ないし作用効果において著しい差異を有するものであることを理由として、審決の上記認定、判断の誤りを主張する。
しかし、審決は、相違点<2>に係る支承部の配置個所につき、本願第1発明のような構成(ねじ(6)用のねじ止め孔のために必要なスペースの半径方向で内側に配置されること)を採用することが容易に想到し得るものであることを裏付けるために、第2引用例の第11図に、半径方向でみてボルト2よりも内側に設置されたパイロットベアリング11及びベアリング12が開示されていることを摘示したものであって、本願第1発明の支承部と第2引用例の両ベアリングが構成及び機能において同一であるとか、本願第1発明と第2引用例の発明が構成や作用効果において差異がないことから第2引用例を引用しているものでないことは、前記審決の理由の要点から明らかであり、原告の上記主張は、審決が第2引用例を引用している趣旨を正解しないことに基づくものであって失当である。
なお、本願の特許請求の範囲第1項には、本願第1発明における支承部がころがり軸受で構成される旨の記載はなく、また、本願明細書の発明の詳細な説明を参酌して、支承部をころがり軸受から成るものと限定して解釈すべき特段の事情は認められない。
したがって、原告の上記主張は採用できない。
(3) 上記のとおりであって、取消事由1は理由がない。
3 取消事由2について
原告は、本願第1発明は、両質量体を互いに定心できるようになり、また、伝動装置をフランジ結合する前に全ユニットもしくは全装置を構造ユニットとして内燃機関のクランク軸に固定できることによって、組立てが著しく簡単になるという優れた作用効果を奏することができる旨主張する。
しかしながら、当事者間に争いのない第1引用例の記載事項によれば、本願第1発明の両質量体に相当する第1引用例のドライブプレート7及びフライホイール9は、ドライブプレートブッシュ19によって相互に回転可能に支持されており、ドライブプレートブッシュ19が両者を正確に定心していることは明らかであるから、両質量体を互いに定心できるとの作用効果は第1引用例の装置においても期待できるものであり、また、第1引用例のものは、第1図の記載からみて、クラッチシャフト3はフライホイール9を支持する必要がなく、ドライブプレート7及びフライホイール9は緩衝装置を介してユニット化可能であることは明らかであるから、該ユニットをボルト6でクランクシャフト2に固定するときには、組立てが著しく簡単になるという作用効果は、第1引用例の装置においても期待できるものと認められる。
また原告は、本願第1発明は、イ.ねじ止め孔の半径方向で内側に支承部を配置することにより、小さな軸受を使用でき安価である、ロ.軸受の直径が小さいため同じ角速度の場合に互いに支承すべき構成部材の相対速度が減少されるから、軸受の負荷も減少され、軸方向の所要構造スペースも減少されるようになり、簡単かつ安価に製作することが可能である、という効果がある旨主張する。
上記効果は、ねじ止め孔の内側に支承部を配置することにより達成されるものと解されるところ、ねじ止め孔の内側に支承部を設けることは第2引用例に開示されているから、上記程度の効果は第2引用例の装置においても予測できるものと認められる。
したがって、本願第1発明の作用効果について、格別顕著なものではないとした審決の判断に誤りはなく、原告主張の看過はないものというべきであって、取消事由2は理由がない。
4 よって、原告の本訴請求は失当であるから棄却することとし、訴訟費用の負担及び上告のための付加期間の定めについて、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、96条2項を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 伊藤博 裁判官 濵崎浩一 裁判官 市川正巳)
別紙図面 1
<省略>
別紙図面 2
<省略>
別紙図面 3
<省略>